(tr1,4 久米大作編曲 tr2,3 朝川朋之編曲) 「オペラ歌手がロックを歌う」一見ありそうでなかった企画が実現。スイスのジュネーヴを拠点に純然とクラシック界で活躍する現役ソプラノ歌手、林正子。海外、国内問わず数あるオペラで主役級の役を次々にゲットし、今や最も旬なソプラノ歌手のひとりである。兼ねてより様々な音楽にも挑戦してみたいと思っていた林が出会ったのは60年代、70年代ロック創世記を築き上げた超名曲の数々。その中から厳選した4曲を様々なテイストにアレンジ、原曲をインスパイアしながらも、ストリングスをメインとした独特の雰囲気を醸し出している。 林正子の声と、歌の表現力というものをどういう言葉で説明したらいいのだろうか。 クラシックの世界だけで暮らしてきて、僕と会うまでクイーンの存在すら知らなかった彼女がレッド・ツェッペリンの稀代の名曲「天国への階段」をピアノをバックに初めて歌った時、僕は思わず息をのみ、幸福な出会いを神に感謝したのである。 それから数年、まずは「FANTASMA VOLⅡ」というCDでスタートするプロジェクトは単にオペラ歌手がロックの名曲を歌うという短絡的な意味ではなく、時空とあらゆるジャンルを超えたものとして考えているし、どこに到達するのかわからない楽しみもある。 10数曲を越えるデモ録音の後、正式にレコーディングされたのは、ミレニアムの年にイギリス人が21世紀に残したい名曲としてNo.1に選んだクイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」と、バラード書きの達人であるエルトン・ジョンの数ある名バラードのうちでも屈指の名曲と評価の高い「悲しみのバラード」、ジョン・レノンが少年時代を過ごした家のそばにあった孤児院の思い出を歌に託したビートルズの「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」、それに「天国への階段」。プロジェクトに賛同してくれた久米大作のスケールが大きく、深味のあるアレンジのオーケストラをバックに林正子がオペラ歌手ならではの唱法で歌い上げた「ボヘミアン・ラプソディ」は、オペラ好きで誰よりも美しいものを愛した、今は亡きフレディ・マーキュリーが聴いたら間違いなく微笑を浮かべる出来映えだし、「イマージュ・エッサンシェル」の仕事で林正子をヴォーカルに起用した縁から、今回のプロジェクトに参加してくれた朝川朋之のハープとフリューゲルホルンだけをバックにした「悲しみのバラード」の透明感のある美しさは、このCDが既にジャンルを超えていることをはっきりと示している。 そして、タイトルの「ファンタズマ」が一般に良く使われる "ファンタジー" の語源であり、"異様な形で現れる" とか "目に見えないものを見えるようにすること" という意味を持つ言葉であると書けば、多くの人がなるほどと納得してくれるはずだ。"ロック・クラシック" という言葉が一般的になり、60年代から70年代、80年代の名曲がオリジナルのまま、映画の中で使われたりいろいろな形でリメイクされる傾向が年々強くなっている音楽シーンだが、林正子の声とオペラ唱法はアイリッシュかつケルトな匂いも漂わせる「天国への階段」ひとつとっても、予想外の形で再生されたということでは、まさに "異様な形で現れた" と言っていいだろうし、レッド・ツェッペリンというバンドの深層に踏み入ったということでは目に見えないものを見えるように”したとも言えるのではないだろうか。 でも、最後に書いておけば、そんなことは何も考えなくても、僕は珠玉の4曲に酔って欲しいと思う。新たな記憶と感動がここには約束されている。 立川直樹(プロデューサー) お問い合わせ:(株)ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
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